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アドさんぽ 第七話

吉兼啓介 / 尾上永晃



吉兼 はい、アドさんぽです。

尾上 お久しぶりです。

吉兼 今日はスペシャル会。1年ぶりぐらいじゃないですか?お便りが殺到したらしいですよ。

尾上 お便り?

吉兼 やめないでくれ、散歩を続けてくれ!って。

尾上 キープウォーキング!って?

吉兼 それはジョニーウォーカーですね。っていうの嘘で、お便りはたぶん来てないです。でもADBOXさんからの熱望で。 たぶん穴埋め要員です。

尾上 どんな形でも穴を埋めに行きます。ありがたいですね。

吉兼 初めて聞く人のために、アドさんぽとは何なんですか?

尾上 広告業界の中堅の2人が、若手の人向けに昨今の広告のことを話したり、学びとか考え方とか、そういう話についても、話してみたりするというものですね。やっぱり散歩中は脳みそが活性化するんで。

吉兼 あと雑談は大事だよねって話ですよね。

尾上 そう、概ね、そこ。

吉兼 僕ら若い時、先輩の雑談から打ち合わせが始まるのが普通だったし。その雑談の中に企画のヒントとかがよくあったっていう話ですよね。

尾上 あった?

吉兼 まあ、あったということで。笑

尾上 俺はね、"雑談からヒントを見つけるっていうことでは無い"のではないかと思ってますね。

吉兼 じゃあ、アドさんぽダメじゃん。

尾上 いえ、大事なんですよ、それは果たして何なのか。

吉兼 え? 番組の後半でわかるんですか?

尾上 いや、別に今しゃべります。私を仕事に誘ってくださってた中村洋基さん(PARTY)が言ってたんですよ。「お!今このチーム、グルーヴが出てきた。これはうまくいく!」って。グルーヴ感。

吉兼 グルーヴ? あの、バンドの演奏が一体感出てるってやつ?

尾上 そうそう。クライアントも含めて全体でグルーヴし始める仕事ってうまくいくじゃない。そういう感覚はありますか?

吉兼 グルーヴっていうの、もうちょっとひも解くとどういうことなんですか?

尾上 なんかこう、みんなが、ガッてくる。そのノリが、それぞれが考えることがどんどん上乗せされていて、みんな同じ方向を向いてるし、なんか楽しいなぁみたいな。あるよね? そういう仕事って、とてもいいじゃない?そのグルーヴを作るのに雑談って大事なんじゃないかと。

吉兼 なるほど。

尾上 一方的にCDがずっと喋って、2時間終わるみたいなのはあまり良くないんじゃないかと思っていて。雑談によって、なんか昨今こうだよねとか、こういうところを目指したいよねとか、この商品ってこうなんじゃないかなみたいなことをワーっと話す。すると、みんなのコンディションが整って、目指したいところがわかったりする。あと、しゃべりあうことで、お互いの心理的安全性が生まれて、気楽に案を出しやすくなったりとか、乗っけやすくなったりとかってことが起きやすくなるはず。それがグルーヴ感を生むってことで、その礎に雑談がなるんじゃないかと、考えたんです。

吉兼 なるほど。尾上さんは若手と仕事することも多いと思うんですけど、雑談してるんですか?
で、グルーヴ感が高まっていくなあ!とか、グルーヴ感高まってるー!って思ってるんですか?

尾上 わからない。それを俺だけが思ってるかもしれない。

吉兼 そうだよね。多分このアドさんぽ見た尾上さんの後輩たちは、うわ、寒―!とか思ってるかもしれないね。

尾上 メールが殺到するかもしれない。

吉兼 たぶん誰も見てないんだけどね。

尾上 だから、雑談大事だと思うんだよね。うん、それはね、あのダムの話、したっけ?

吉兼 過去の回でしましたよ。多数決は良くないよねって話。

尾上 そう、ダム建設の時にもうとにかくみんなでしゃべりまくることで、全員OKになってから決定するという。あれもまさに、しゃべることで信頼を生むってことなんですよ。
それから発想を得ましたね。

吉兼 気になる方は過去回で。さて、今日は中目黒から渋谷まで歩きます。今目黒川沿いを歩いてます。あ、誰も見てないってさっき言ったけど、この前「見てます!」って言う人いましたね。プロデューサーのKさん。「アドさんぽ見てますが、あれ、本当に歩いているんですか?」って言ってたんですよ。
「本当に歩いてますよ!」って言ったんですよね。そしたら「歩く意味ってなんですか?」って。「喫茶店でもいいじゃないですか」って。

尾上 喫茶店だとなんか調子こいてる感じするよな。

吉兼 そうなんだ。

尾上 「そうだよね」じゃなくて「そうなんだ」ってきましたけど今。あなたは喫茶店でもいい派なんですか?

吉兼 だって涼しいしね。冬は暖かいしね。

尾上 喫茶店は好きですよ。私も。

吉兼 でも散歩中は脳が活性化するってのは確かにそうですよね。

尾上 今もさ、この暑い中、草葉がいっぱい生い茂ってますよ。

吉兼 そう、歩きながら景色が変わっていって、そこで見る広告や、ポスターについて話すことをも目的としてましたよね。

尾上 目黒川沿いなんて歩いていたら一個も、広告出てないですから。

吉兼 広告ないですね。いい街ですね。

尾上 景観条例。

吉兼 ちゃんとした街ですよ。

尾上 こんなに自由に話していいんだったっけ?笑

吉兼 いいんですよ。

尾上 そういえばね、ひらめいたんですよ先日。ピカーン!って。

吉兼 おお聞きたい。

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