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アドさんぽ 第一話

吉兼啓介 / 尾上永晃

吉兼       アドさんぽ第1回目です。今日は電通がある新橋から博報堂がある赤坂まで歩きたいと思っています。

尾上       アドさんぽとは?

吉兼       ADBOXさんに6回連載してほしいって頼まれたんですけど、そんなに書くことないので、どうせなら尾上さんと散歩しながら広告についてしゃべるのがいいんじゃないかと。

尾上       素敵ですね。散歩はいいからね。

吉兼       で、歩きながら目に入った広告について語るとか、そこから派生していろいろな広告について語れればと思っています。今まさに汐留から赤坂に向かっています。まず自己紹介を簡単に、新橋で尾上が。

尾上       私は電通という会社におります、プランナー、クリエイティブディレクターの尾上と申します。あれこれやってる人間です。よろしくお願いします。

吉兼       僕は吉兼です。博報堂と東北新社の合体した会社「HAKUHODO CABIN」に在籍しています。CMプランナー、クリエイティブディレクターをやっています。尾上さんとは2009入社で会社は違えど同期ですね。

 

 

尾上       はい。とりあえずこのまま歩いてれば着くからね、赤坂は。30分くらいで着いちゃうのよ。何を話すといいのかしら?

吉兼       今日第1回目で、しかも視聴者は広告業界を目指す若者が多いらしく、何かアドバイスとかできるといいですよね。

尾上       そうだね。いいよね。しかし不思議な体験だね、これ。

吉兼       なんで?

尾上       だってなんか歩きながら普通に話してるようで、誰かを意識してしゃべるってことってないでしょう、人生において。こうこう広告のやり方もあるんじゃないっていう。

吉兼       どんな?

尾上       誰か広告出るような人が歩きながら何かを体験してしゃべってるようなこと自体が音声コンテンツになるとか。

吉兼       それって街ブラロケじゃないの?

尾上       街ブラロケの音だけ切り出す。

吉兼       それ面白いか?(笑)

尾上       わからないけど(笑)。撮影とかの間の音声とかってさ、使えないじゃん。

吉兼       あー、役者さんとかが監督と会話してるところとか面白いよね。

尾上       面白いでしょう。そういうものとかも実はコンテンツになるんじゃないの。そういうことに気づかせてくれるツールですよ、このピンマイクは。このツールの宣伝したほうがいいんじゃない。

吉兼       ピンマイクはいいでしょ。(笑)

尾上       あ、早速だけどこれ、新橋駅のカラスのキャラ。「烏森口の黒森さん」というやつで、新橋駅の烏森口の認知用につくったんだろうなという感じなのよ。

吉兼       烏森口だけのキャラクターね。

尾上       そう。烏森口の黒森さんなわけ。なんで烏森さんじゃないの?

吉兼       ちょっとあれじゃない。クリエイティブのエゴというか、ちょっと頑張りたかったんじゃない(笑)。烏森だとまんますぎるから。

尾上       そっか。でも黒森口って思っちゃうんじゃないかなと思って。

吉兼       ああ、たしかに。

尾上       そういうことをずっと思ってますよ、俺は。

吉兼       これも一応広告だからね。

尾上       広告でしょう。駅のブランディング。

吉兼       なんかよく思ってるんですね、ブラブラしながら。でも1回目はまず若者に向けて。(笑)若いとき尾上さん、こういうとき成長したなーみたいなことあります?

尾上       急にジェネラルな話に。成長...なんだろう。自分が得意だと思ってたものを封じられたときが良かったね。

吉兼       何を得意だと思ってたの?

尾上       お絵かきがね。

吉兼       絵うまいですもんね。

尾上       面白い感じの絵を書くのが好きではあります。

吉兼       俺も悪意たっぷりの似顔絵を年賀状に書いてもらって。

尾上       で、コンテ書いたりしてたら、古川裕也さんと初めて下っ端として仕事させていただいたときに、君は企画が面白いんだか絵が面白いんだかわからないから、一旦絵を封じたほうがいいかもしれないって言われたの。あと師匠に、お前は絵に逃げる部分があるから全部言葉で説明できるような企画書をやれみたいなことを言われたりとかして。そうしたら、そのときに言語の部分でいろいろできるようになったのは良かったなというふうに。

吉兼       ええ、意外。尾上さんって最初プランナーというか、絵で企画書いてたの?

尾上       そう。本当ほぼ絵だけで一発。バカリズムみたいな感じで出して受けを狙うみたいなスタイルだったけど、それってわかんないじゃん、どっちが面白いのか。言われてみると、それで逃げてた部分があるのかな。

吉兼       それで言語化できて、自分の企画とか、本当に面白いものというのを見つけやすくなったってことか?

尾上       のかもしれない。

吉兼       いい話。でも俺も美大出身なので、絵コンテをまず描いてたの。いきなり絵コンテ描くみたいな。字コンテという存在を知らなくて。でもタグボートの皆さんって字コンテでしょう。僕も尾上さんと一緒で、たしかに絵でごまかしてるとか、ノリでごまかしちゃってるかもなと。で、字コンテに変えたんですよ。

尾上       ええ、今も?

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