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コピーライター分類してみた〜⑤PR系について〜

井手康喬

いよいよこのコラムも5回目。

今回のフォーカスは「PR系コピーライター」のお話になります。

 

1回目でのその定義はこうでした。

 

5【PR系】

SNSでの拡散や社会性ある意見発信など、世の中の空気に合わせ巧みに言葉を操れる人。

 

こういうタイプのコピーライターの方の活躍が増えてきたように思います。

また、こういうタイプのお仕事の依頼も増えてきた実感もあります。

 

さて、PRの発想を持つコピーとは、一体どんなものなのでしょうか。

 

 

PR系を語る上で必要な、コピーの「基礎」の話から。

 

実は私、この5、6年間ほど毎年、博報堂の新人研修講義の中の「コピーライティング」の枠をもらっています。そこでは、コピーライターに限らず、これから多様な企画職に配属される新人たちに、コピーの基礎についての話を自分なりにわかりやすく伝えています。

 

そこでいつも新人たちに質問をしてみます。

そもそも、コピーって何のために必要なのでしょう?と。

毎年、どの新人に答えてもらっても、だいたいこんな解釈が返ってきます。

 

「コピーとは、”広告で言いたいことを一行にまとめたもの”じゃないでしょうか。」

 

間違いではないし、業務のプロセスでいうとそれも正解のひとつなのですが、コピーをじょうずに機能させる上で、もっとよい解釈があると僕は思っています。

 

コピーとは「その商品やサービスをこう見てほしい、という視点を与えること」

 

たとえば、

 

ただのりんごが置いてある。

そのままだと、そのりんごに対する思いや感想は人それぞれです。

赤い、と思う人もいれば、甘くておいしそう、と思う人もいる。産地やブランドを予想する人もいるかもしれません。

でもそこに「青森の田中さんが愛情こめて育てました」と書いてあると、とたんに質の良い商品に見えてくる。

 

これがコピーの効用です。

「その商品がほしくなるような、魅力的な目線を与えている」ということになります。

 

他にもたとえば、

 

年末の売れ残り商品を紙袋に詰めただけのもの。

そこに「福袋」というコピーが添えられたら、

縁起の良い、お正月のワクワクする風物詩に見えてくる。

 

ニューヨークで明太子を売ろうとした人が「cod roe(タラの卵)」とそのまま書いたら全然売れなかったけど、「Hakata Spicy Cavier」と視点を変える名前を書いたらヒットした、という話は有名です。

 

商品やサービスそのままだと解釈がそれぞれに委ねられるものを、「魅力的に見える目線に誘導すること」がコピーの使命だと思うのです。

 

 

PRは、時代が生んだ「応用」のコミュニケーション領域

 

ただ、そんなコピーの「基礎」の役割は、メディアを伝って表現が生活者の目にきちんと届くことが前提の話です。商品ポスターやTVCMを直に見てもらえる、という「強制視聴」の状況が約束されている場合にワークする考え方です。

 

いま、それだけで通用する時代じゃないですよね。

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