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気づいたらアメリカでCDをやっていた男の話③

曽原剛

初回でも話しましたが、30歳で初めてアメリカに渡るまで、

私は英語が苦手でした。帰国子女でもなく、留学経験もない、

ごく普通に日本で生まれ育ったコピーライターで、

博報堂入社時のTOEICは560点……。

とても英語で仕事できるレベルではありませんでした。

ましてや、「言葉のプロ」であるコピーライターとしてなんて。

今回は、英語で仕事をすることについて、

私の経験を踏まえて、もう少し具体的にお話ししたいと思います。

 

コンセプトとコンテクスト

 

日本語は、世界中の言語の中でも非常に特殊な言語だと思います。

文字だけでも「漢字」「ひらがな」「カタカナ」と全く異なるものを

高度に使い分けて文章を構築する必要があり、

26文字のアルファベットだけで成り立つ英語とは、その複雑さは比になりません。

レベルの高い日本の初等教育のおかげで、私たちはほぼ100%の識字率を達成し、

その複雑な言語を使いこなしています。けれども、その複雑さゆえに、

日本語的な思考方法が、英語で仕事をする上や英語文化で通用するアイディアを考える上で

障壁となってしまっている部分もあると思います。

異論はあるかと思いますが、自らの経験からいつも感じているのは、

英語はコンセプチュアルな(概念的な)言語、

日本語はコンテクスチュアルな(文脈的な)言語だということです。

ひとつ、それぞれの言語で作られた有名なタグラインを比較してみましょう。

 

  • Think Different

  • そうだ 京都、行こう。

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