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気づいたら、アメリカでCDをやっていた男の話⑤

曽原剛

政治的背景を動機とした痛ましい事件が、ここアメリカでは続いています。

どんな政治的信条があろうとも、それを理由に命を奪われることは許されません。

しかし残念ながら、私たちは歴史から学ぶことなく、

いまだにその過ちを繰り返してしまっていることに、失望と怒りを覚えます。

今回は少しセンシティブではありますが、

政治とマーケティングに関して少し話したいと思います。

 

政治とマーケティング

 

マーケティング用語の多くが政治や戦争の用語と共通しているように、

古くから政治とマーケティング、戦争とマーケティングの関係は密接でした。

大衆をコントロールするという目的を同じくしていることもあり、

その共通点や歴史は数多くの文献で示されています。

 

また、アメリカの大統領選挙キャンペーンには、

トップクラスのPR会社やクリエイターがその力を発揮することが、

ごく当たり前のこととなっています。

 

そして特にアメリカのここ10年では、政治的信条が政治という舞台を超え、

一般的な会社やブランドの広告やブランディングにも強い影響を及ぼしています。

「このブランドは、どちらの政治を支持しているのか」

「この商品を買うことは、どちらの政治が描く未来を支援することになるのか」

「この会社で働くことは、私の政治的信条と合っているのか」

消費者や従業員がこういったことを気にすることもありますが、

一方で企業側も、

「このマーケティングによって政府から会社に不利益な政策を実行されないか」

「このマーケティングによって不買行動などにつながる炎上を起こしてしまわないか」

「このマーケティングによって優秀な人材が流出してしまわないか」

といったことを、これまで以上に留意する必要が出てきています。

 

人間が政治的な動物である以上、これらの問題は避けては通れませんが、

2000年代に入りインターネットやソーシャルメディアの普及によって、

その重要性が飛躍的に増したのは紛れもない事実です。

いくつか最近の事例を見てみましょう。

 

アメリカンイーグルとGAP

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